区画整理事業再建に向けた取組み


区画整理事業を運営していると、どうしても地権者等の調整による事業費増加や事業期間の延伸などいろいろな要因で運営困難に陥ることがあります。

そのような時は、区画整理事業を運営されている方々といっしょによりよい再建案を模索しながらおてつだいできたらと考えております。御気軽にご相談ください。

下記に、区画整理事業再建に向けた取組みの事例を紹介しましたので参考にしてください。

 – 区画整理事業再建に向けた取組み(事例) –

再建検討時の事業の概要(事業計画変更前)

施 行 者 :浜松市船明土地区画整理組合

施行面積:47.7ha

施行期間:平成7年度~平成21年度 

減 歩 率 :34.12%

総事業費:60億円

保留地処分金:27.75億円(平均単価49,500円/㎡)

事業の目的:

    ・慢性的な排水不良の改善対策
    ・まちの定住人口対策
    ・地域産業の拠点としての土地利用



 区画整理事業設立から、一部地権者による組合設立認可取消訴訟並びに、地権者の合意形成が取れないため事業の長期化となっており事業費進捗率も30%に満たない状況である。また、長期的な地価の下落による保留地販売の低迷も課題となっていた。

このようなことからて、設立から12年経過後に事業採算性の検討及び地権者の合意形成を図るために、事業再建に向けた取組みを行った。

事業再建に向けた取組みの流れ

 1)保留地処分金の適正価格設定及び売却先の選定

 2)補助金・助成金等の再積算

 3)残事業の精査

 4)事業費の削減(確実な収入による整備内容精査)

 5)総事業費の精査

 6)保留地面積の確定

 7)地権者の合意形成

 8)事業計画の変更・仮換地設計変更

1.保留地処分金の確保

 市の施策として市営墓地用地の不足による用地確保が急務となっていた。そこで、船明地区において市営墓地用地の誘致の検討として大規模集合保留地の創出と地域住民の合意形成及び計画上の整合性を検討し、市と地域住民との合意に至った。

保留地全体面積の内、市営墓地用地として約80%が信頼性のある売却見込みが確保された。残り約10%が地権者への付け保留地と約10%がその他沿道沿い保留地を見込んだ計画とした。

2.事業再建の概略

 より確実性のある事業計画の見直しを行うに当たり、実情にあった保留地単価の設定見直し平均単価を49,500円/㎡から27,000円/㎡とした。このことにより、12億円を超す事業収入不足が見込まれるため、施行区域縮小の検討を行ない且つ仮換地設計の見直しについても、地権者と納得いくまで説明を行い合意形成を図った。

地権者の反応は、早期完了に向けた運営方針をほとんどの地権者が合意していただいた。

合意形成が取れたことにより、施行面積47.7haから43.5ha・施行期間(9年延長)・減歩率34.21%から35.42%・総面積60億円から48.5億円・保留地処分金27.75億円から15.11億円の変更内容で事業計画変更及び仮換地設計変更を行ない事業再建に取り組んだ。

今後の課題として、事業の早期終息に向けた地権者のさらなる合意形成・事業計画に似合った組合の資金調達及び区画整理事業に実施工程に沿った別途事業(上下水整備)との整合性を取ることが重要な課題となっている。